・園田競馬場に田子ノ浦部屋が宿舎 元横綱・稀勢の里や高安関らが公開稽古(毎日新聞)
一瞬、「あれ、園田競馬場っていつ廃止になったんだっけ…いや、あそこ未だにフツーに開催してるよな?」とそこからびっくりした。確か尼崎市内だからそんなに車で行けば大阪市内までは遠くないハズだし…と。
1月の初場所で引退した元横綱・稀勢の里の荒磯親方が所属する田子ノ浦部屋が、エディオンアリーナ大阪(大阪市浪速区)で開かれる大相撲春場所(3月10日初日)を前に、兵庫県尼崎市の園田競馬場に宿舎を設けた。日本相撲協会によると、宿舎を競馬場に設けるのは珍しい。朝稽古(げいこ)の一般公開が始まった26日、レースに訪れた競馬ファンら200人以上が荒磯親方の指導や大関・高安関の汗を流す姿に声援を送った。
兵庫県競馬組合によると、宿舎を探していた田子ノ浦親方(元前頭・隆の鶴)に元同組合所属で現在は日本中央競馬会(JRA)で活躍する小牧太騎手が同じ鹿児島県出身という縁で紹介した。園田競馬場内の今は使われていない第4投票所の1階に土俵、2階に宿舎が設けられている。
朝稽古の公開は、新番付発表(25日)翌日のこの日、始まった。早朝から競馬場の門の前には競馬ファンと近くの住民が列を作り、午前10時の競馬場開門と同時に土俵のある第4投票所まで数十メートル、一斉にダッシュ。今場所も東大関に座る高安関ら力士10人ほどが「バチン、バチン」と大きな音を立てて激しいぶつかり稽古をする様子を窓にかじりついて見入った。まわし姿の荒磯親方が土俵に上がり、弟子と組み合うと、若い力士に「がんばれ」とエールも飛んだ。
競馬ファンの吉田正隆さん(71)=尼崎市=は「力士はテレビで見るよりも大きく稽古には迫力があった。今日は相撲も競馬も楽しめてうれしい」と笑顔。荒磯親方のファンで京都市から3姉妹で訪れた会社員の井上厚子さん(63)は稽古の後に競馬のレースも初めて見学し、「想像していたより、馬の目は可愛くて走る姿はとてもきれい。迫力もある」と馬場を眺めた。
田子ノ浦親方は21日、場内で競馬ファン向けにトークショーも。馬券の購入を勧められ、「未成年者はダメですが、勝負勘を養うのもいいかも」と会場を沸かせており、26日は「競馬を見ている人たちにも、若い力士を応援してもらえたら」と話した。
朝稽古の公開は3月7日までの午前10時から(3月2~4日は午前9時から)。
凄いアイデアだ…。現在はさだかではないんですけど(←一応検索して調べたら今もそうらしいです)、元横綱・大乃国の芝田山親方の芝田山部屋が、大阪場所の宿舎が長居スタジアムの中にあるユースホステルで、ユースホステルだと2段ベッドを置いた8人部屋もあるし、おそらく大風呂も、そして自炊もできるスペースはあるし、外国人の旅行客が多いから時には芝田山部屋のちゃんこをご相伴したり…と、意外な交流があるみたいな話も聞いたことがありますね。それ以来の「凄いアイデア」だなあと。
ちなみに園田競馬場では2-3月の平日はほぼ毎週、週3-4ペースで開催されてるようです。入場料は100円らしいんですけど(特別観覧席はもっと高いらしいです)、相撲見学がメインでいつもは競馬場には全く来ないようなお客さんが競馬場にも足を運んでくれるってきっかけになるとはいいですね、これ。
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駐車場の心配がないのがまずは嬉しい点、かなあ。
20年ぐらい前に、クイズサークルの会報に地方競馬が大好きなメンバーが毎号、コラムを連載してましてそのご縁で地方競馬に多少詳しくなってしまったんですが(笑)、あれから20年であちこちの地方競馬場が廃止されてしまい、大井や船橋、浦和、川崎などの南関東競馬の4場もなかなか経営が苦しいらしいんですが、更に首都圏以外の地方競馬もなかなか経営が厳しくて、JRA(日本中央競馬会)や他の公営ギャンブルとの馬券・舟券・車券…などの相互購入ができるようになったりと、いろいろと工夫はしてるんだけども、自治体が赤字に悩んで廃止論が勃発している…という例がかなり多いんですね。
そんな中、「スペースはあるし、騎手の宿舎(レース開催中は宿舎に「隔離」されてますので)もあるしで、よかったら、どう?」って、現在進行系で営業してる競馬場の一角を相撲部屋が借りる…というのは、いいアイデアだなあと思いますね。
それと同時に悩ましい問題としては「駐車場問題」ってのもあるんですね。かつて横綱の朝青龍関が現役バリバリだった頃、高砂部屋の各地方場所の宿舎にも見学に訪れる地元民や相撲ファンなどが多くて、宿舎(大概は大きなお寺さんって事が多いですね、あれほどの昔からある相撲部屋だと)の周りに、不法駐車をする例が多く、高砂部屋さんのホームページでも再三注意してる記事があったのを思い出しますね。と同時に、何度も交通誘導してくださるご近所のボランティアの方へのお礼とかも書かれていて「あー、地元に密着して交流してるんだなあと」(笑)。
新しい相撲部屋は地方場所の宿舎にも苦労するらしい。
また、歴史が浅い、例えば親方の代替わりで新規にできた相撲部屋や(田子ノ浦部屋は元々、元横綱・隆の里の鳴戸部屋だったんですが、隆の里没後、おかみさんが元隆の鶴の新しい親方に年寄株を譲ってくれなかった事から(隆の里が亡くなる前に、本当に若くして亡くなった元久島海の田子の浦親方が持っていた)田子の浦の年寄株を得て、新たに相撲部屋を立ち上げた経緯があるんですね。ついでに書くと現在の鳴門親方は元大関の琴欧洲氏が所有していて最近、新しい鳴戸部屋として独立して今に至ってます)、元力士が親方株を持っていて何年かして独立した後に「最大の悩み」となるのが、この地方場所の宿舎の確保というのもありまして、いきなり住宅地に作るわけにはいかないし、騒音の問題や、先程も書きましたが見学しに来るお客さんの車を停める場所(特に不法駐車)の問題…などもあるんですね。
※ちなみに東京の田子ノ浦部屋は今は江戸川区の東小岩にあるんですが(新婚時代に南小岩に住んでたんであそこはよく知ってまして)、本当に住宅地の路地の奥にあって駐車場のスペースもないとこで「いやあ凄いとこに建てたなあ」ってびっくりした記憶があります(苦笑)
そういう意味では、競馬場サイドからしても、競馬ファンはもちろん、相撲ファンも訪れるかもしれないし、馬券は買わなくても競馬場のグルメは楽しめるでしょうし、更にガラス越しに稽古も見られる…ってのは、これはWin-Winの関係じゃないのかな、と思った次第です。まあちゃんこの場とか、寝食をする場所は当然お客さんから見えないとこにあるんでしょうし。
まあ本来は横綱・稀勢の里が現役のままだったら、それを見越して物凄いお客さんが見に来る…という期待もあったんでしょうけど、残念ながら稀勢の里は前の場所に引退してしまいましたが、ただまだ30代前半ですし荒磯親方として、大関の高安関や、幕下以下の若い衆に廻しをつけて胸を貸して稽古場に出ることもあるでしょうし、むしろ稀勢の里も現役時代のプレッシャーから解き放たれて「うわ、いい相撲してるのに、もったいねえ」って稽古をつけてくれるでしょう(笑)。
さらに稀勢の里の荒磯親方は、もともとは陽気な饒舌な人らしいんで現役の時にはできなかったファンサービスもより一層力を入れてやると思うんで、きっと競馬場に見学しにきた相撲ファンを喜ばしてくれると思いますよ。
…ま、相撲取りの面々も相撲ファンも、これをきっかけに某貴闘力氏のようにギャンブルで身を崩さないように気をつけてね、とは思いますが(笑)
Number(ナンバー)972号「さらば、稀勢の里 横綱論。」 (Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィック ナンバー))
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