NPBで導入された「コリジョンルール」とは、そもそも何ぞや?

走路ふさいだようにも…ロッテ コリジョン適用ならず好機潰す ― スポニチ Sponichi Annex 野球

ま、去年ここのブログでも何度か「捕手は命がいくつあっても足りんわ」と思ってたら、今季からコリジョンルールなるものが導入されたわけなんすけど…導入初年度ゆえにビデオ判定になったりと揉めてるなあ(汗)

「コリジョンルール」の適用はならず、ロッテは逆転の好機をつぶした。

 0―1の5回1死一、三塁から中村の左翼線二塁打で三塁走者の井上に続き、一塁走者の田村も本塁を狙ったが憤死。この時、送球が三塁側にそれ、捕手・山崎勝が捕球の際に走路をふさいだようにも見えた。審判団はリプレー検証したが、判定は覆らず。伊東監督は「捕手の足が(走路の方に)動いたように見えた。難しいね」と首をかしげた。結局、1点止まりで3連勝はならず「ルールだからしようがない。福岡で頑張る」と、5日からのソフトバンク3連戦(ヤフオクドーム)へ切り替えた。

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そもそも「コリジョンルール」とは何ぞやと。

一応検索で調べたらちょうど簡潔な説明なのがWikipediaに載っていた。

衝突ルール(しょうとつルール コリジョンルール(collision rule)ともいう)は、2015年からメジャーリーグベースボール(MLB)で、また2016年から日本プロ野球(NPB)で、採用されている、衝突防止のための競技ルールである。

背景

2011年、MLBの公式戦で、サンフランシスコ・ジャイアンツのバスター・ポージー捕手が、クロスプレーの際に相手選手に強烈なタックルを受け、左足首じん帯を切る重傷を負った。この事故をきっかけに、本塁での危険なプレーに対する議論が高まり、2014年から禁止事項としてルールに加えられた。

ルール

大まかなルールとしては
1.走者が捕手に強引に体当たりをすることを禁じる
2.捕手のブロックと走者の走路を妨害することを禁じる
3.送球がそれるなど、やむを得ない事情で捕手が走路内に入る時も、なるべく激しい接触を控えること

の3点があり、審判団が悪質・かつ危険な衝突とみなした場合、当該走者に対して警告や退場を宣言できるとしている。

私、英語が苦手なんで「コリジョン」というのが人名だと思っていた。そしたら「衝突」の英単語なんすね…。うーん、だから大学受験で苦労すんだな(号泣)。

ポイントは1のランナー(日本で言えば助っ人外国人選手が特に)が無理やりホームに突っ込む際に捕手にタックルされるのを阻止するってことなんでしょうが、逆に捕手もロコツにホームベース上に陣取って三塁から来たランナーの進路を妨害するのもダメですよって事なんでしょうね。

そしてどうなったかというと。

要は今までだと本塁に進塁する際に捕手がベースのすぐ近く、下手したらベースのほぼ真上に陣取って、浅い外野フライや浅いライト前ヒットのような打球ではタッチアップだと3塁ランナー、ライト前ヒットなどだと2塁ランナーが得点を取るために三塁コーチャーもGOサインは出しづらかったんですが、このルールだと、外野手の返球次第では捕手がややベースから離れた位置に構えなくてはならないので、ランナーの足や外野手の肩、もしくは連携次第(パリーグであれば最低限、そこらへんのことは調べて頭に叩き込んだ上でプレーしてるでしょうから)では、「あっさり」と得点を得られるチャンスではある、ということになるわけですね。

ただ、それをジャッジする審判は難しいわけですな。

ところがそれをジャッジする審判からすると、内野の4人の審判全員もそうですが、最も近くから見ている本塁の審判も「これは妨害なのか否か」を判断するのが物凄く難しいわけですね。それこそ一瞬のことですから。

ゆえに、さきほどのWikipediaの項目にはこんなことも書いてありました。

MLBで採用された最初のシーズンは、本塁の判定を巡って、92回ものビデオ判定が行われ、うち11回で判定が覆るなど揉めることが多かった。中には明らかにアウトのタイミングにも関わらず、形の上で「捕手が走路をふさいだから」という理由でセーフになるなど、物議をかもすことも少なくなかった。

2014年9月にMLB機構の野球運営部門が「捕手がボールを持っていない状態で本塁をブロックしたとしても、意図的に走路を妨害した明らかな証拠がなければ、走者をセーフにしないように」と通達し、それまで曖昧だったルールに一定の基準が設けられるようになった。

要はルールが改正されたとしてもそれを「運用」する審判の方がどう判断するかが物凄く難しいってことになるわけですね。

他のスポーツで言えば…。

大相撲でも行司+土俵下に5人の審判がいても揉める時は揉めますし、昭和40年代後半からビデオ判定を使っています(当時の大横綱・大鵬が40数連勝を止められた一番がやはり微妙な判定でそれが導入のきっかけだったという話も。既にビデオ判定の準備はしてあったそうですが、正式運用が繰り上がったんだそうですね)。

サッカー、特にJリーグなんかでも、たとえば体のぶつかりあいのファウルとか、ペナルティエリアぎりぎりで発生した守備側のファウルで、「ペナルティエリアの内か外か」という、それこそ1メートルの違いで直接フリーキックかペナルティキックか、という攻撃側からすると雲泥の差がつく次第で。更にそのファウルを受けた選手が「接触もしてないのにわざと大袈裟に倒れた(これを「シミュレーション」「ダイブ」と呼びます。勿論、審判を欺いた行為なのでイエローカードが出ることが多いです)」か否かとかの判断も余儀なくされることもありますしね。

大学ラグビーでは「覇者交代」のきっかけの試合も…。

ラグビーなんかも、スクラムやモール、ラック…のように選手が組み合って密集ののまま相手のエンドゾーンに突っ込んだ際に、パッと見、「これ、本当にトライなの?」ってなることがよくあります。

↓例えばこんな感じに。審判や観客から見づらいってこともざらにあります。

↑もっときわどいとこんな感じに(たぶん法政大対東海大戦。画像検索からお借りしてきました(多謝))

例えば2枚目の写真でいえば、この次のプレーで、ボールがトライしているかぎりぎり手前でボールがついちゃってトライしてないか、更にサイドラインぎりぎりでボールは外に出ていないか、とか、それとも実はエンドラインの手前で攻撃側がぽろっとボールを落としちゃっていてノックオンという反則か、その前の時点で守備側が反則を繰り返していたがゆえに「認定トライ」になっちゃうか、などなど、一目でみてもよくわかんない密集の中で、多種多様な可能性がはらんでいることが多い…という事で近年はビデオ判定に持ち込まれるようになりましたね。

今でも覚えてるのが、数年前のラグビー大学選手権1回戦で「1990年代後半からから2000年代前半にかけてのかつての大学王者」関東学院大学と「2000年代後半以降の絶対王者になった」帝京大学の一戦で、その関東学院大の選手のトライがサイドラインぎりぎりに入ったもので、ラインが切れてなければ関東学院のトライ、切れていれば帝京のスローインという微妙な状況で、この時はビデオ判定がまだ行われておらず、帝京のスローインという判定になり、しかも最終的なスコアは同点でトライの数の差で帝京の辛勝となり、つまりは「その微妙な判定が勝敗を決する」結果になってしまったという試合がありました。

そしてそのまま帝京は大学選手権初優勝を果たし、現在まで数年間、もはや敵なしの連覇記録を続けており、関東学院はやや低迷しここ3シーズン2部でプレーしてやっとこ1部に戻ってきた…という対照的な逸話もあったりします。

まさに後から見れば「覇者交代」のきっかけになったのはこの微妙な判定から、という事にもなるわけですが…ゆえに微妙な判定はより慎重に、ということにもなるんですね。

※とはいえ関東学院が最後に全国制覇してから帝京の黄金時代まで厳密には2-3年の間はあるんですけどね。

選手は生活および人生を賭けて戦っていますしね…。

まあ微妙な判定で揉めるのは致し方ないと思いますわ。選手および監督コーチなどはその一試合一試合に生活および人生を賭けて戦っているわけですから。審判、特に日本のプロ野球とサッカーの審判にはどうもそこらへんがわかってない「残念」な技術しか持って無い方も散見されるんですが…そこらへんはやはり選手同様に、生活および人生を賭けて戦うかのように真剣にやってほしいと思いますわ(いや、一部のトンチキレフェリーを別にすれば審判の気持ちも大変だなあとは思うんですけどね) 。