・白鵬「猫だまし」に理事長「ありえない…前代未聞」 – 大相撲 : 日刊スポーツ
正直、うーんって感じ。
<大相撲九州場所>◇10日目◇17日◇福岡国際センター
横綱白鵬(30=宮城野)の「猫だまし」に対し、日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱)が苦言を呈した。
白鵬-栃煌山戦でのこと。白鵬は立ち合い直後、相手の顔の前で両手をバチンと合わせる猫だましでかく乱。左にひらりと動いて、栃煌山を泳がせた。相手が振り向くと再度、猫だまし。得意の右四つに組み止めて寄り切った。
北の湖理事長は「(猫だましを)やるってのは、なかなかありえない。やられる方もやられる方だけど、やる方もやる方。横綱としてやるべきことじゃない。横綱がやるのは前代未聞なんじゃないの?」とあきれ気味。観客もあっけにとられた一番で「拍手がないじゃない。お客さんはどう見ているか分からないけれど…」と続けた。
格上の横綱が繰り出す猫だましは、相手をなめたようにもとらえられかねない。同理事長は「みんな(モヤモヤした)気持ちが残っちゃうでしょ? 横綱はそういう風に見られちゃだめ」と指摘した。
大相撲に関しては、格闘技であり、神事でもある、という側面からいろいろと考えてしまうんですが…。
うーん、もし横綱が立ち合いの変化や猫だましみたいなかく乱方法をするのが大有りだったら、3代目若乃花とか、旭富士とか、力相撲よりも技のセンスが素晴らしくて、大関からなかなか横綱に上がれなくて、どうにか昇進した後に更に怪我や病気で横綱としては大成できなかった力士も、もうちょっと頑張れたんではないのかな…とかふと考えてしまった。奇しくも白鵬が大横綱になるまでは「不知火型の土俵入りの横綱は現役が短命系が多い」と言われていたような、不知火型土俵入りの両横綱だったんですが。
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さすがに「日下開山」「天下第一」の横綱がやるのは…。
もっとも彼ら(3代目若乃花・旭富士)が「相手にフェイントをかけるような相撲をしてそこまでして勝ち越して」細く長く横綱という心身ともにプレッシャーがかかるような大役を担おうとしたのかどうかはわからないが。若乃花はたぶん親父さんの二子山親方にどやされてたかもしれないし(弟の貴乃花の存在もあったでしょうし)、旭富士は今、親方として愛弟子にやはり業師である横綱・日馬富士(彼も不知火型土俵入りの横綱でもある)がいて、同じような事をやったらどういう反応をするのか…は、それはなんとなく見える。
それこそ、大正時代の大横綱・栃木山の春日野親方が昭和の名横綱栃錦が横綱昇進したその夜に「今日からは毎日、辞める時のことを考えて過ごせ」と言い、北の富士の九重親方が千代の富士が横綱昇進を決めた直後に「ウルフ、辞めるときはスパッと潔く辞めような。ちんたらチンタラと横綱を務めるんじゃねえぞ」と言った…という意味がちょっとではあるが、なんとなくわかる。
内外問わず様々なプレッシャーや常に優勝戦線に絡むだけの2敗も許されないような立場に置かれているその大変さは勿論敬意を評したいとは思うのだが(だから「猫だまし」のような技で勝ちに行く姿勢に関しては、結構精神的に参っているという可能性も否定はしない)…まさか幕内力士の軽量力士だった舞の海氏が格上・巨漢力士に「奇襲」を仕掛けるようなことを大横綱がやる時代が来るとは正直思わなかったな…。
だったらその舞の海氏にかつて「顔じゃない」と言い放った横綱・朝青龍みたいに力技で完膚なきまで叩きのめしてくれた方がまだ負けた方もすっきりするだろうに(ま、その分受け身の取れない駄目出しとかされると、余計な怪我が増えるので朝青龍のあれも実際はかなり勘弁してほしいとこではあるんだけとね)。
しかしだなー。ブフ、いわゆる「モンゴル相撲」だって、昔から連綿と受け継がれている衣装や儀式があって、あれの祭典に、縁もゆかりもない「外国人」の日本人格闘家が道場破りのような形で乗り込んできて「あんな儀式は時間の無駄だからさっさと勝負で決めちゃいましょう」とかをモンゴル語で言い放って、しかもモンゴル相撲の強豪をモンゴル相撲では外道な技を使ってばったばったとなぎ倒して優勝なんかしたら。
たぶん「あのガイジンは強いけど、モンゴル相撲の横綱としての風格に欠ける」って言われるんだろうな、とも思う。