・ロッテ投手陣の“頼れる兄貴”田中靖洋(34)はなぜ整理整頓にこだわる? 戦力外通告を経験したからわかる「幸せ」とは(Numer Web)
いつも「千葉魂」を書いている広報・梶原氏の記事なんですが、いやー出先でたまたまスマホで読んでていい記事だなあと(感涙)
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ちょっと引用するには「長い」記事なんですが…。
ま、割愛するにはもったいないぐらいいい記事なんで全文引用させてもらいますです。
後輩から「ヤスさん」と呼ばれ親しまれるのは、千葉ロッテマリーンズの田中靖洋投手だ。
石川県立加賀高校から2005年高校生ドラフト4巡目で埼玉西武ライオンズに入団。2015年シーズン限りでライオンズを戦力外となり退団した後、トライアウト、入団テストを経てマリーンズ入りを勝ち取った。今季は貴重な中継ぎ右腕として38試合に登板し、防御率4.54、10ホールドと、優勝争いを繰り広げたマリーンズを支えた。
縁の下の力持ち。その言葉がよく似合う投手である。
そんな田中を評価するのが、吉井理人投手コーチだ。
「シュートにスライダー。横の揺さぶりが出来る投手。特に右打者のインコースにシュートをしっかりと投げ込むことが出来る。ユーティリティーピッチャーで、どこでも投げてくれる。それはやっぱりポジション的には結構しんどいところだけど、そこをしっかりとやってくれるので助かるよね」
信頼を寄せているのはマウンドさばきだけではない。若い投手の多いマリーンズにあってプロ16年目、34歳のベテランの存在感は大きい。
「締めるところはキュッと締めてくれる。締まっていない雰囲気の時は『オイ! 』とこわもての顔で短い言葉で言ってくれるからみんな締まる」(吉井コーチ)
西武時代に学んだ「整理整頓」
1歳年下の石川歩投手も、投手陣を引き締める役割を田中が実践していることを証言する。
「ちゃんとしていない時には誰に対しても、しっかりと言ってくれる人。当たり前の事とか、社会人としてのルールとか。普段は優しい人なだけに、そういう点をしっかりと見てくれて指摘していただけるのはありがたい」
それは練習姿勢であったり、基本的な挨拶や生活面の事であったりするのだろう。特に口酸っぱく言うのは整理整頓。ロッカーが汚い選手がいると指摘する。それは自身が若い時に聞いたメッセージが原点にある。
「元々、キレイ好きではあるのですけど、ライオンズ時代とかに先輩が整理整頓の大事さを教えてくれたことが大きいと思います」と、田中は若い時に聞いた忘れられない言葉を教えてくれた。
『自分のロッカーすら整理できない選手がキッチリとストライクゾーンの四隅に投げ分けられるわけがない』
それはライオンズ時代にロッカーで聞いた言葉だった。声の主は石井貴(現・東北楽天ゴールデンイーグルス投手コーチ)。自分に言われた言葉ではなかったが横で聞いていて、その言葉に納得した。今も忘れることはない。だからこそ、若い選手を中心に言い続けている。
「野球だけやればいいというのは違う。そうボクは思うので。今まで色々な人から言われたり、教わったことを気づいた時にはしっかりと言えたらと思っています」と田中はキッパリと言う。その力強い言葉に誰もが信頼を置く人間性が垣間見える。
「ヤスさんはいつも最初に声をかけている」
厳しさだけではなく優しさもある選手だ。
新外国人やトレードで移籍してきた選手たちには率先して声を掛けるようにしている。その姿に感心するのは唐川侑己投手。
「ヤスさんが新加入選手にいつも最初に声をかけている印象があります。投手だけではなく野手にもそう。ヤスさんは新加入選手が1人にならないように意識的に声をかけていると聞いたことがあります」
前述の通り、田中自身も15年オフのトライアウトでの投球がマリーンズの目に留まり、鴨川秋季キャンプのテストに参加。テスト生の身は不安と孤独で一杯だった。そんな自身の体験があるからこそ、移籍してきた選手には誰よりも気を使って接し、一日でも早くチームに溶け込めるように配慮をしている。
若手投手たちにとっては優しき兄貴分だ。ブルペン投手を中心に様々な声掛けを行う。今季、セットアッパーとして大飛躍を果たしている佐々木千隼投手は言う。
「やりやすい雰囲気を作っていただいています。投げて失敗して落ち込んでいる時とか声を掛けてくれる。最初の印象はちょっと怖い人かなと。でも今は面白くて優しい人」
佐々木は今年、いつも試合前のキャッチボールを田中と行っていた。キャッチボールを行いながらのちょっとした会話から励まされたり安心をしたりする。
ベテランの領域に入ろうとしているマリーンズの絶対的守護神である益田直也投手にとっても背番号「47」は兄貴分だ。
「ボクもだいぶ年上になってきて、なかなか色々と言ってくれる人は少なくなってきている。ヤスさんは疲れている時とか心配をしてくれるし、打たれた時にケアをしてくれたりする」
打たれて落ち込む時の声掛けはなかなか難しい。そんな時、田中は周りに人があまりいないことを確認してから近づく。最初から多くを話さない。ちょっとした会話から始め、相手の出方をみて話し込む。「そういうところが凄いなあと思います。勉強になります」と益田は笑う。
「ナイスピッチング!」と励まされた東妻
急成長を見せている東妻勇輔投手も田中の言葉に助けられた選手の1人だ。
今季からツーシームに力を入れて取り組んだ。ツーシームでゴロを打たせて取るピッチングスタイルを目指してのことだ。ただ当初、ゴロを打たせて取ろうとした結果、野手の間を抜けてヒットになることもあった。そんなときに、励まされた。
「打たれたのは結果。やろうとしていること、その過程は間違っていないんじゃないかな」
それ以降も好投するたびに「ナイスピッチング!」と声をかけてくれた。
勝っている場面、負けている場面、緊急登板。様々な状況で出番はまわってくる。
3回にはブルペンで肩を作り始める。肩が出来るのに14球。1試合に3回、肩を作る時がある。ブルペンの電話がなり、「行けるか?」と問われると、ただ一言「ハイ!」と言って黙々と準備をしてマウンドに上がる。
マリーンズに移籍して6年目のシーズンは終わった。チームは前後期制、プレーオフを除くと51年ぶりのリーグ1位での優勝を目指し、最後まで戦った1年だった。その中で背番号「47」は、渋く、しかしチームにおいて他の誰にもできない大切な役割を担いながら存在感を示している。
「マリーンズに来て本当に幸せです」。田中はそう口にする。
そして「一度、クビになったからこそ、今の幸せを感じられるようになった。野球がやれる幸せを日々、感じながら、こうやってマウンドに上がれることに感謝です」と遠くを見る。
優勝という栄光の時は残念ながら来年に持ち越しとなった。来る2022年シーズン、歓喜の輪の中で、普段はこわもての男がどんな表情を見せるか。今から楽しみにしたい。
そうなんすよねえ、タナヤスはロッテ生え抜きではなく、最初は西武で約10年プレーしてから、戦力外通告→トライアウト→テスト入団→1軍の中継ぎの一角に定着…って流れでもうロッテで6シーズン過ごすことになったんですね。
で、うちのブログでも何度かタナヤス投手の記事を書いたことがありまして、
↑3年で年俸が6倍超になったり、
↑中村奨吾に「いい人」と言われたり、
↑暴投してそれで試合を落としちゃったり…と。
で、もうすっかり「あー、千葉ロッテに馴染んじゃって、そしてチームメイトに慕われてるんだねえ」としみじみ、そしてほっこりした気持ちになりましたわ。で、よくよく考えると、近年のプロ野球選手でいったん戦力外通告を受けて他球団に移籍した選手が5年以上も、しかも1軍で長くプレーし続けているというタイプの選手は結構珍しいんじゃないですかね。そういう意味ではロッテ球団と水が合ったこと、タナヤス投手が心機一転ここまで必死に頑張ってきたことなどなどがうまく絡み合っていい方向に転じたというのはお互いにありがたい結果になった…と思うと、この記事を読んでてあらためて「いやーいいなあ」と思う今日この頃です、はい。
うーん、現在34歳か…。あと何年プレーできるかはわからないけど来年以降もぜひチームのよき兄貴分として叱咤激励しつつ、中継ぎの一角でまたファンをうならせる「いい仕事」ができることを祈ってますです。
以上です。
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