・【将棋】加藤一二三九段が対局最高齢記録を更新 – 産経ニュース
凄いなあ。加藤九段、こないだまでは「史上最年少棋士・対局最年少記録」も持ってたのに。
まさに「無事是名馬」。でも若き頃は「神武以来の天才」と称されてたり、ベテランになった後、還暦を過ぎても62歳までトップリーグたるA級順位戦を戦ってたり…と、本当に天才と無事是名馬ってのは両立できるもんなんだな…。
将棋の加藤一二三九段(77)が12日、東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われた順位戦C級2組9回戦で石田直裕四段(29)と対局した。77歳での公式戦対局は、76歳11カ月で最後の対局を行った故丸田祐三九段を抜いて最高齢対局の新記録を更新した。
加藤九段は福岡県出身。昭和29年、史上最年少の14歳7カ月でプロ入り。この記録は昨年10月、藤井聡太四段が14歳2カ月でプロになるまで破られなかった。「神武以来の天才」と呼ばれ、名人1期などタイトルを通算8期獲得した。
昨年12月には、藤井四段のデビュー戦の相手として対局し、大きな話題となった。
この加藤九段は昭和15年の元日の生まれなんですが、もし生まれたのがそれよりも8日早い、昭和14年のクリスマスイブ生まれだとしたら実は、その加藤九段の前人未到と言われてた史上最年少記録を62年ぶりに更新した藤井聡太四段のデビュー戦が昨年の12月24日に行われてたので(しかも相手が当の加藤九段、というまさに「将棋の神様の粋なクリスマスプレゼント」のような対戦カードになってました)、藤井四段の史上最年少デビュー記録&加藤九段の史上最高齢対局新記録が同時に更新されてたんだなー、と思うと、やや残念というべきか。それとも「よくぞ昇段してくれた藤井四段」と「よくぞ引退せずに粘ってくれた加藤九段」って気持ちが強いですねー。いや、むしろ後者のほうでしょうかね。いやそれ以上の「何か」を求めるのは将棋の神様のこれ以上にない粋なはからいに対して生意気な発言であり、贅沢というものなんでしょう(苦笑)。
ちなみに加藤九段に最年長記録を更新された丸田祐三九段という将棋棋士は、将棋も強くA級順位戦に通算24年間在籍し、名人戦にも出たことがある強い棋士だったそうです。「歩の使い手が絶妙」だったということ…なんですが、実はこの人は今の日本将棋連盟の給与体系とか様々な事務に長けていた裏方としても物凄く有能だったそうで、今の日本将棋連盟を支えた影の立役者でもあったそうです。影、といっても長らく理事を務めていて、トップである会長には1期しか務めずに長年、時の会長を支え続けた(特に長期政権になった大山康晴会長時代には)、という逸話もある人だったりします。一昨年に95歳で亡くなられたんですが、大正生まれでは最後の現役棋士だったそうで…。
ついでに書くと、加藤九段がもし引退する際には戦前生まれの現役棋士がいなくなるんだそうで(次に最年長なのが森けい二九段。昭和21年4月生まれ、更に桐山清澄九段が昭和22年10月生まれと続きます)。
これを調べて改めて感じたのは「あー、内藤國雄九段も米長邦雄九段ももう現役じゃないんだな…(ま、それどころか米長九段は引退して将棋連盟の会長のまま四年前に亡くなられてるわけですけども)」と、一抹の寂しさを感じると同時に、加藤九段が引退することになったらそれこそ「ひとつもふたつも、時代が終わる」んだなと。そして「ここからが藤井四段の時代が始まるんだな」という時代の端境期を思わずに居られなくなった今日この頃でした…。いや、本当によくぞご両人「間に合ってくれた」と思いますわ。
いずれにしましても、加藤九段、本当におめでとうございます。一局でも長く現役生活を続けられますことを、そして今後もお元気でご活躍されることをお祈り申し上げます。
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追記
・将棋の77歳、加藤九段敗れる 最高齢記録更新も引退の危機 – 西日本新聞
という西日本新聞の記事も。
加藤九段は残り2局となった順位戦C級2組で1勝7敗と苦戦が続いており、同クラスから陥落すれば事実上の引退が決まる。
これまでの記録は、故丸田祐三・九段が現役最後の対局となった76歳11カ月。日本将棋連盟によると、現行規定になる前の参考記録として、13年に82歳の故小野五平12世名人が故関根金次郎13世名人と対戦し、勝利しているという。
順位戦のC級2組はプロが参加するリーグとしては一番下のクラスで、諸条件が重なればフリークラス宣言して他の棋戦にも参加できる…んですが、これも年齢制限があって「満65歳の誕生日を迎えた年度が終了するとそこで引退」というのもあるんですね。
なので、現在77歳の加藤九段は現役続行がかなり厳しいという事に。そして残る順位戦は2局。さて…。