大相撲春場所で頭から落ちて緊急搬送された力士が、まさか亡くなるとは…。

響龍さん死去 28歳 春場所取組で倒れ入院、寝たきり続き急性呼吸不全で(日刊スポーツ)

3月の春場所であまりに危険な形で頭から土俵に落ちてそのまま緊急搬送・入院した三段目の力士がいたんですが、その方が昨日亡くなった、というニュースに接して、ただただ驚いて言葉が出ない次第です、はい。

大相撲の境川部屋の三段目力士、響龍(ひびきりゅう)さん(本名・天野光稀)が28日、急性呼吸不全のため東京都内の病院で死去した。28歳だった。日本相撲協会が29日、発表した。

響龍さんは3月の春場所13日目の取組で、すくい投げを食った際に頭から落ちた。意識はあったがうつぶせ状態のまま立つことができず、倒れてから約1分後に、呼び出し3人があおむけにした。審判の親方衆や医師らが容体をうかがうなどし、倒れてから約6分後に担架に乗せられて土俵を降り、都内の病院に救急搬送されていた。響龍さんは救急搬送された際、協会関係者に体のしびれを訴えていた。

翌日には、師匠の境川親方(元小結両国)が日本相撲協会広報部を通じて「いま、一生懸命、治療に専念しています」とコメントしていた。関係者によると、響龍さんの入院生活は続いていたというが、徐々にまひした体が動くようになっていたという。しかし、28日に容体が急変。同日に死去した。取組でのアクシデントがきっかけとなった死去は、異例。寝たきりの状態が続いており、肺血栓を患っていたという。

協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「この度の訃報に接し、協会員一同、心より哀悼の意を表します。ご遺族の皆様方のご傷心を察しますと、お慰めの言葉も見つかりません。私自身、突然の訃報に、ただただ驚き、茫然としております。一か月以上にわたる闘病生活、さぞ辛かったと思いますが、ご家族や師匠らの懸命の看病のもと、力士らしく、粘り強く耐え、病魔と闘ってくれました。今はただ、安らかに眠って欲しいと願っております。懸命の治療を施してくださった医療関係者の皆様には故人に代わり、深く感謝申し上げます」(原文ママ)とのコメントを発表した。

昔だと、土俵に落ちる際に手をつくな、と教えられていたもので、先代の大関・貴ノ花や、その貴ノ花の息子(長兄)にあたる横綱・3代目若乃花あたりは顔に擦り傷を作って流血しながら勝ち名乗りを受けていて称賛されてたのを思い出しますね。「時代は変わったのだ」とは思いたくないんですが、こういうアクシデントで亡くなる事もあるのだな、と驚くしかないです。

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しかし「リング禍」ならぬ「土俵禍」は全く聞いたことがない。

大相撲では過去に何度か現役の力士が病気や事故、事件などで亡くなる例や、他の格闘技、例えばボクシングやプロレスなどの試合で、「リング禍(か)」と呼ばれる形で試合の対戦のダメージによって選手が亡くなってしまうというケースは過去に何度かあった(本来はあってはならない話であるのは当然ではありますが)のですが、大相撲の本場所の取組の怪我などが原因で亡くなった例というのは記事にも書いてありますが、私も全く記憶にないですね…。

で、大相撲だと昭和40年代に、今は解説者として活躍されている北の富士さんと一緒に横綱に昇進した玉の海という力士が、虫垂炎の手術の後、肺血栓(実は今回亡くなった響龍さんの死因と同じなのですが)で、退院直前に急に亡くなった…という話は知っているんですけども、近年は肥満体の人が手術の跡にこの肺血栓になる事が多いようで、そうならぬように術後に一緒に予防薬を投薬するのがセオリーになったらしいんですが、この亡くなった力士の方はどうだったんでしょうかね。

そういえば少し前にYouTubeで、元関脇の貴闘力さんが喋ってたんですが、力士は「首も徹底的に鍛える」んだそうで、こちらはボクシングやプロレスのトレーニングと全く同じなようですね。プロレスの場合は全日本→ノアの主力選手だった三沢選手の死亡事故が記憶に新しいですが、様々な複雑な飛び技とかも出てきて今までの受け身だけではダメージを回避できない例も多くなったそうですし、大相撲に関してはもともとが土俵がプロレス・ボクシングのマットに比べて格段に硬い上に、土俵の下も決して柔らかくない状況ですから、とにかく力士はまず首を徹底的に鍛えないと、稽古で首の骨を折られる事もあって(貴闘力さんの時代はもっと幕下以下の力士が多かった食うか食われるかの時代でして、稽古でヒートアップするとひどい時はバックドロップやブレーンバスターみたいな投げ技をしてたそうですし)、むしろそれが「土俵禍」が(もちろん、そこには偶然的な要素も含まれているんでしょうが)起きなかった要因の一つなんでしょうね。

しかし現実としてはこういう事が起きてしまったとは…そこまで来ると力士の稽古不足とかのせいにもできないし、実際に起きてしまった際に緊急搬送のレスポンスを早くするとか、プロ野球やサッカーの試合でたまに発生する「選手同士や選手がフェンスに激突して、緊急搬送される(状況がひどい時は試合を止めて救急車がピッチの中まで入ってくる)」ケースも鑑みて、「実際に起きてしまった際にはどうする」というシュミレーションも考えないといけないんでしょうね。

最後に、その亡くなられた力士の方のご冥福をお祈り致します。合掌。