かかりつけだった地元の総合病院での「透析中止、患者死亡」のニュースが出てた。

医師が「死」の選択肢提示 透析中止、患者死亡 東京の公立病院(毎日新聞)

「あー、いつもうちのじいさんが行ってた病院じゃん」と思いつつも、いろんなケースがあるんだなあとも。

東京都福生市と羽村市、瑞穂町で構成される福生病院組合が運営する「公立福生病院」(松山健院長)で昨年8月、外科医(50)が都内の腎臓病患者の女性(当時44歳)に対して人工透析治療をやめる選択肢を示し、透析治療中止を選んだ女性が1週間後に死亡した。毎日新聞の取材で判明した。病院によると、他に30代と55歳の男性患者が治療を中止し、男性(55)の死亡が確認された。患者の状態が極めて不良の時などに限って治療中止を容認する日本透析医学会のガイドラインから逸脱し、病院を監督する都は6日、医療法に基づき立ち入り検査した。

 ◇ガイドラインから逸脱 都が医療法に基づき立ち入り検査

 外科医は「透析治療を受けない権利を患者に認めるべきだ」と話している。病院側によると、女性は受診前に約5年間、近くの診療所で透析治療を受けていた。血液浄化用の針を入れる血管の分路が詰まったため、昨年8月9日、病院の腎臓病総合医療センターを訪れた。外科医は首周辺に管を挿入する治療法と併せ、「死に直結する」という説明とともに透析をやめる選択肢を提示。女性は「透析は、もういや」と中止を選んだ。外科医は夫(51)を呼んで看護師同席で念押しし、女性が意思確認書に署名。治療は中止された。

 センターの腎臓内科医(55)によると、さらに女性は「透析をしない。最後は福生病院でお願いしたい」と内科医に伝え、「息が苦しい」と14日に入院。ところが夫によると、15日になって女性が「透析中止を撤回する」と話したため、夫は治療再開を外科医に求めた。外科医によると、「こんなに苦しいのであれば、また透析をしようかな」という発言を女性から数回聞いたが、苦痛を和らげる治療を実施した。女性は16日午後5時過ぎに死亡した。

 外科医は「正気な時の(治療中止という女性の)固い意思に重きを置いた」と説明。中止しなければ女性は約4年間生きられた可能性があったという。外科医は「十分な意思確認がないまま透析治療が導入され、無益で偏った延命措置で患者が苦しんでいる。治療を受けない権利を認めるべきだ」と主張している。

 日本透析医学会が2014年に発表したガイドラインは透析治療中止の基準について「患者の全身状態が極めて不良」「患者の生命を損なう」場合に限定。専門医で作る日本透析医会の宍戸寛治・専務理事は「(患者の)自殺を誘導している。医師の倫理に反し、医療とは無関係な行為だ」と批判している。外科医は女性について「終末期だ」と主張しているが、昨年3月改定の厚生労働省の終末期向けガイドラインは医療従事者に対し、医学的妥当性を基に医療の中止を慎重に判断し、患者の意思の変化を認めるよう求めている。

 東京都医療安全課の話 生命尊重と個人の尊厳保持という医療法の理念通りに病院が適正に管理されているかを確認している。

 厚労省地域医療計画課の話 一連の行為は国のガイドラインから外れ、現在の医療水準や一般社会の認識からも懸け離れている。

ここの病院はうちから歩いて20分ぐらい、車で行くと5分程度のご近所さんで、昨年夏までうちのじいさん(=85歳の妻の父)が2ヶ月にいっぺんの割合で薬を貰いに行きつつ、通ってました。それと、家族が急患でお世話になったこともあるし、市の健康診断は毎年ここで受けてるんで、まあ「勝手知ったる」病院でもあるんですけどね(苦笑)。

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ただここの病院、予約してんのに「やたらと待つ」んだわ…。

で、最近はあまり行かなくなりました。息子が3ヶ月に一回ぐらい耳鼻科でお世話になる程度で。

というのは、じいさんがお世話になってた循環器科の先生が、病院ではそこそこえらい人兼エースみたいなお医者さんで、急患が出たり、病棟の入院患者さんに何かがあったらすぐにPHSで呼び出しを受けて診察室からいなくなってしまうんですね。

で、どうなるかというと、

毎回、予約時間を入れてるのに、

予約時間+60-90分は平気で待たされる。

という次第で、さすがにうちのじいさんも入院(奇しくも去年の初夏にここの病院で入院してました)して、85歳という年齢もあって「車椅子(←病院の中も広いので車椅子を借りています)に座って60-90分も待ってる体力がなくなってしまった」わけですね。

その結果、循環器科の先生に相談して、「訪問診療」という、逆にお医者さんが定期的に巡回して家に来てくれる病院を紹介してくれまして、今は毎週土曜日の午後に来てもらっています。そこで処方箋を書いてもらって、週明けに近所の調剤薬局に私が取りに行くという方法になりましたし。それでいて診察時間は3分…って、昭和時代の大病院かよってツッコミは禁じ得なかったですなー。

「辛いんでやめます」「はいそうですか」で決断しちゃ駄目だろ。

てな事を思うと、科は違えど、この病院にしては随分と「迅速」、いやまあ言葉は悪いですが「拙速」な対応だったなあと。

15年来の友人で、結婚して西日本に引っ越した後、たまたま高熱を出した病気から腎臓を痛めて透析患者になってしまった…という話をつい何年か前に聞いたばかりでして(やはりこの亡くなった患者さん同様、首周辺に管を挿入したそうです)。

第一、人工透析のお世話になるのもかなりのお医者さんの説明(と説得)と、本人や家族の「納得と決断」がいるのに、ましてやそれで命をつないでいるような患者さんが「私、こんなに辛いんだったら人工透析をやめます」なんて本当にきつくて愚痴で言ったならばともかく(あれはかなり辛いそうですしね。シャントを通さないといけないし痛みも少なくないらしいし)、「はい、そうですか」ってお医者さんが投げやりになってGOサイン出しちゃ駄目ですわ。

記事いわく「人工透析やってても余命4年」(ということはかなり重症な腎臓病患者だったわけですし)で、かなり精神的に追い込まれて、その末の気の迷いで「こんな痛いのをやってても4年しか生きられないなんて」って思ったのかもしれないけど、だからといって主治医が見るに見かねて、「じゃ、透析止めて緩和ケアで残り少ない人生は」という選択肢に至った…にしては、患者本人が「透析中止を撤回する」(そして家族が病院にそれを伝えた)って言ってきたってのは、もしかしたら「え、インフォームドコンセントはどうした?」ってツッコミも禁じ得ない始末なんですけどね。いやいや、そこらへんのリスクを込みにして、患者さんや家族に説明してねえのかよ?と。

そういう意味では、ネット界隈では患者さんの非(特に自分で人工透析を止めてからそれを撤回するとこを)を批判してるとこも少なくないんですが、それを「意地でも食い止める(死に直結するリスクがある以上は)」のが医療のプロたるお医者さんの仕事であり、本当に条理を尽くして説明してたのかねえ、っていう不信感は出てきますな。あの「予約時間を毎度入れてるのに、毎度毎度60-90分は平気で待たせて、それでいて診察時間はわずか3分」を家族の付き添いで何年もやられてた身としては、「なんかどこかで患者の事を他人事のように思ってたんじゃねえの?」っていう感じも正直否めないんですね。

ぶっちゃけていえば「病棟のベッドもいつも満床だし入院待ちの患者も少なくねえし、どうせ治らねえ患者だったら無理に退院させるなり、安楽死させるなりして」という公立ゆえの悪いほうでのお役所根性が…とかね。

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